骨髄移植から生着までの記事を書いています。前提知識として必要なので、GVHDとGVL効果についても少し説明しています。
GVHDとGVL効果
移植片対宿主病(GVHD)とは
造血幹細胞を移植したことにより起こる症状です。原因はドナー由来のリンパ球が患者の臓器細胞等を異物と認識して攻撃することによって起きる合併症です。急性GVHDと慢性GVHD(移植後100日経過)があります。生着症候群といってドナー細胞が生着する前後の時期に(発熱、皮疹、下痢、肝障害、肺炎などの全身的な炎症症状をきたす事もあります。
急性GVHDの場合は皮膚・肝臓・消化管に出ることが多く、慢性の場合は皮膚・口腔粘膜・眼球・肺などさまざまところに症状がでます。重症の場合は後のQOLに大きく影響してしまいます。
治療はステロイド剤と免疫抑制剤を用いた全身療法が中心で、症状に応じて、外用薬(塗り薬)・内服薬・点眼薬(目薬)などの局所療法を併用します。
移植片対白血病効果(GVL効果)とは
GVHDによる副産物で、ドナーのリンパ球にとっては移植後に残存している腫瘍細胞も異物なので一緒に攻撃してくれます。その効果により予後が良くなるといわれています。治療としてはGVHDによる臓器障害と、GVL効果による再発減少効果のバランスを管理することが重要となります。
造血幹細胞移植
これまでの前処置により白血球もほぼゼロになっていますので準備万端です。名前からすると何か手術するかのようですが、ほとんど輸血と同じです。万が一の為に心電図やらを繋がれますが、基本は寝っ転がって点滴されるだけです。
私の場合は血液型も同じだったので、1.3リットルの造血幹細胞が含まれた血液を左腕から2~3時間かけて入れました。
無事に造血幹細胞が届いた時は、提供してくれたドナー様への感謝と、ここまで辿り着いたことへの喜びを感じましたね。
メソトレキセート-免疫抑制
過去にも使用していますが、免疫抑制の目的でメソトレキセートという薬を日を空けて3回ほど点滴しました。今回は前処置を行った後に使うので、粘膜障害を起こしやすく特に口内炎になる確率がかなり高いということでクライオセラピーをしました。
クライオセラピーとは氷片などで口腔内を冷却することにより毛細血管を収縮させ、抗がん剤の口腔粘膜への薬剤移行を減少させる方法です。
簡単に言うと点滴の前後に合計2時間程、氷を口に含んで冷やします。苦痛でしかなかったです。
生着までの副作用
ここから生着までにでた副作用を紹介。
喉の痛み
移植後3日目くらいから、喉(食道?)に違和感を感じてきた。2日後
強烈に喉が痛い。風邪引きMAXの時以上の痛みが24時間続く。
食事は麺類やゼリー中心に変えて貰っていたが、噛んで飲み込むと激痛が走る。
食事が戦いでしかなくなった。
10日くらいしたら、喉に常に何か突っ込まれてるような違和感を感じるようになる。
寝る前に一旦吐くのが日課になった。吐くと楽になって寝やすかったのです。
生着したら嘘みたいに治っていきました。白血球の力は偉大ですね。
発疹、発熱、頭痛
生着が近くなって発生した。まず皮膚が赤くなって発疹が広がりました。
次に何かしんどいなと思って熱を測ると
39.7度ーー、インフルエンザでも見たことないよ
検査して解熱剤を投入。薬効いてるときは少しマシになった。
次は頭痛。1日目は我慢できる範囲だったが、翌日悪化。痛み止めも全く効かない。割れるように痛い。医者にいったら「脳炎起こしてたら大変なので、検査します」とのこと。
脳のCT撮って、MRIにも行った。頭痛でMRIは拷問でしかなかった。
異常なしだったので、生着症候群であろうということで、ステイロイドを投入。嘘みたいに症状が引いていきました。ステロイドまじで奇跡の薬(多肢にわたる副作用さえなければ)。
無事生着、終わりに
DAY16に無事生着しました。喉の痛みが一番つらかったですね。2週間くらい続いたので。でも内臓は平気だったし、口内炎も出なかったのでマシなほうだと思います。
医者も入れてみないと分からないので、あまりポシティブな話は聞けないと思います。ですが治療も過去に比べて進化してます、これから受ける予定の人はどうか勇気をもって臨んで下さい。